ガイド:川口 有三(ゆうちゃん)

川口 有三

ガイド:川口 有三(ゆうちゃん)

日本一の苔むした馬越峠の石畳、『春寒し見下ろす海の果てしなき』鈴木牧之も、その雄大な景色に感動した八鬼山、『西国三十三ヶ所名所図会』にも描かれた七里御浜の絶景等々。
人間が何百年もかけて自然に働きかけて生まれた文化的景観が、散策する人々に癒しと心の蘇りを授けています。

熊野は古道ばかりではありません。
峠を越えるたびに新しい集落の風景、今でも二宮金次郎がいる木造の小学校校舎、冬枯れの棚田と石垣、海を見下ろす墓地、ちょっと山奥に入れば千枚田の棚田には石垣がつまれ、『熊野は石の文化』だと実感するに違いない。日本の原風景がそこにあります。

東尋坊に勝るとも劣らない柱状節理の『楯ケ崎』、『天狗倉山』から大台ケ原や熊野灘の眺望、はるか昔、千四百万年前噴出した溶岩や火砕流が作り出した、熊野の奥地の岩峰や渓流と飛瀑。
地元の私たちさえ足を踏み入れたことがない秘境もまだまだ残っています。

熊野は昔、奥熊野と言われ、巨木がたくさん残っています。
あの南方熊楠が命をかけて保存運動をした三重県一の巨木『引作の大楠』、日本でも上位に位置する『大又の桂』や『神木のイヌマキ』等々、神社の境内には三重県ベストテンに入る樟や杉などが千年の命を受けて鎮座しています。
神々しいこれらの巨木も一度ご案内したいものですね。巨樹巡礼・巨木ツアーも如何ですか。

私、熊野古道の語り部に携わってから二十年を過ぎ、意気投合した旅人に泊っていただいたり、出身地の面白い話しを教わったりしてガイドの醍醐味を楽しんでおります。
最近、三重テレビの『ええじゃないか』にガイド出演し、鈴鹿で開催されたシンポジウムのパネリストにも参加し冷や汗をかいています。
それよりも自分自身もっと熊野のことを知らなければと思っている次第です。