三重県尾鷲市の飛び地で、かつては巡航船しか交通の便がなかった須賀利(すがり)は、深い入り江の地形からなる天然の良港で、江戸時代は廻船の風待ち湊として栄えました。
現在も市営の巡航船が住民の足として運行されていますが、車道が繋がり乗客は激減し、存続が危ぶまれています。
昔から、須賀利に限らず三重県南部に点在する港町は船で結ばれ、地元の足として利用されてきました。また、熊野へ向かう参詣道「熊野古道」は、陸路だけではなく難所を避けるために海路の利用もありました。須賀利の巡航船は、海の熊野古道を体験できる唯一の公共交通機関でもあります。

須賀利は昔ながらの漁村風景が、写真家やスケッチ旅行に人気で、朝日新聞社のにほんの里100選に選ばれました。
また、典型的な「過疎・少子化・高齢化」の集落でありながら、住民に悩みがほとんどなく、健康で元気に暮らしているという三重大学のワークショップ調査結果により、生活習慣を見直す点やコミュニティとしても注目されています。

6月22日、日曜のみ貸切運行を始めた巡航船に乗る須賀利ツアーを企画実施しました。ガイドは元気な「すがりのおんばん」こと世古明美さんと、くまの体験企画の植野めぐみです。38名のお申し込みをいただきましたが、雨天で2度の延期によって減り、13名様にご参加いただきました。
この延期日も朝から雨でしたが、巡航船が出せるとの情報で決行!

定期運行では15分ほどで到着しますが、今回は45分も尾鷲湾内を回る大サービス! 植野めぐみの船内ガイドや船長さんのお話を聞きながら、楽しく船は進みます。

※これは遊覧船ではなく渡船でもなく、地元の足「巡航船」です(笑)



定期航路と違う場所を通っているので、地元の漁師さんも驚いている様子。

須賀利港では世古明美さんとご友人がお出迎え。
廃校になった須賀利小学校に移動すると、地元の干物やおにぎりの昼食が待っていました。

昼食後、三重大学ワークショップの展示を見学し、須賀利の町なかへ。
世古さんから地元のお話を聞きながら、普済寺、マグロ漁の史跡、高宮神社などを散策しているうちに雨が止み、須賀利の町並みが見下ろせる高台に来ると、全員がカメラのシャッターを押していました。

帰りの巡航船乗り場では、世古さんたちがテープを持って送り出し。なんだか懐かしい光景ですね。世古さんをはじめ須賀利町のみなさん、本当にお世話になりました!

帰りの航路は、行きとは違うルートを通ります。尾鷲湾の入口にある佐波留島に近づき、弁財島や熊野古道センターのすぐ沖を通って尾鷲港へ。

雨上がりで霧にけむる、幻想的な尾鷲湾を眺めながら巡航船は行く。
レトロでゆったりとした時間が流れるツアーでした。